世の中には料理のレシピが山ほどある。和食に絞っても数え切れないほどの料理がある。ただその調理法は最終的には「焼く」「蒸す」「揚げる」「煮る」にほぼ集約される。もちろんそれ以外にも、「和える」「ゆでる」などがあるし、生食もある。味も「だし」を中心に、砂糖やしょうゆ、味噌などを中心に付けているものが大半だ。
一つ一つを覚えるより基本を覚える
レシピを一つ一つ覚えるのは大変だ。全部覚えきれないし、都度レシピを見ながら作るのも大変。でもレシピは大量であっても、調理法はそこまで多くない。家庭でやる料理は先にあげたものが大半だ。調理法と味付けと食材の組み合わせで大量のレシピが出来上がるが、調理法と味付けの基本を抑えておけば、後は食材を変えていけば良いことになる。
もちろん食材それぞれの扱い方は違うが、スーパーで買うものであれば、さほど多くは無い。魚だって、でっかいマグロを買っては来ないし、アナゴやうなぎを丸で買ってはこないだろう。野菜だって聞いたことも無いような変わったものは売っていても買わないだろうし、大体買い物から帰ってくればいつも同じようなものが冷蔵庫に入っているわけだ。大根、ニンジン、鶏肉、豚肉、アジにイカ。
そういった「良く買うもの」の捌き方や調理法を覚えるだけならそこまで大変ではない。下ごしらえをして、焼くなり揚げるなりするわけだ。味付けも家にある調味料を組み合わせるだけだ。同じ味付けでも昨日と違う食材ならまた新しい料理だし、同じ食材でも違う調理法なら別の料理である。
「揚げる」時は素揚げにしたり、衣をつけたりするが、大体の温度と、衣のつけ方を知っていればちゃんとできる。良く「365日の献立」とか書いてある本があったりして、私も昔買ったことがあるが、結局は同じ調理法で味付けも同じで食材が変わったものが「忘れたころ」に書いてあることが多く、365の種類があっても結局はそれほど多くのことを覚えなくていいことがわかる。
そりゃもちろん、それぞれのレシピに対する細かいコツやテクニックなどが違ったりして、全く同じようにはいかないが、基本の部分を押さえておけば、数え切れないレシピに発展させることができるというのは、あながち間違いではないと思う。
だから私は最近、一つ一つのレシピを覚えるのではなく、ニンジンの切り方や下ごしらえの仕方といった、食材の扱い方や調味の仕方、調理法の注意点などを覚えるようにしている。それさえ抑えれば、あとはそれらを組み合わせていけばいいのだから。夕飯で食卓に並ぶ料理は「肉じゃが」とか「酢豚」とかいう名前が、つかないようなものが多い。
楽器も一緒
楽器の練習でも同じことが言えると思う。曲の練習も大事なのだが、1曲をいっぱい練習しても次の曲はまた別に練習をしなければならない。基礎練習をたくさんこなしていれば、その組み合わせでさまざまな曲に対処できるようになる、というのが私の考えだ。音楽、料理に限らずさまざまな分野で大事なのは「基礎」なのだと思う。
家で言う「基礎」はこれらの「基礎」とは少し意味合いが違うかもしれない。いくら基礎作りを続けていても建物は建たない。ただしっかりとした基礎があれば、その上の建物がさまざまな形をしていても支えることができるという意味では近いのかもしれない。
3月の半ばになり、来週にはいよいよ上棟を迎える。3日間で屋根まで出来上がるということなので、時間が許せば途中の部分を見に行けたらと思う。