思っていた何倍も早く土地の候補が決まりほっとしたのも束の間、住宅ローンの問題をクリアしなければならない。せっかくのいい土地なのだから、上に建つ家も満足行くものにしたい。
銀行の検討
月曜日に早速Tさんから電話があった。いくつかの銀行に電話して大体の融資内容がわかったのだ。驚いたのは銀行によって融資額に結構差があるということ。大体1000万円も差があるのだ。そして、銀行の中で一番多い融資額を提示したのは三菱東京UFJで4300万円だった。実際はもっと多くの融資額を提示したところがあったが、すこし条件が複雑のようで我が家の条件とは合わなかった。
我が家は35年のローンを計画している。仮に現在の変動金利0.775%がずっと続いた場合は、月々約11万7千円の返済となる。今の家賃がちょうど10万円なので、そこまで大きく変わらない。
ただ、それでいいわけではない。変動金利なのだから、当然今後逐次変わっていく。今や空前の超低金利時代と言われているので、ここからさらに下がっていくということはほぼ無いと思っている。下がらなくても横ばいならいいのだが、景気の回復が徐々に見えてきたなか、今後もこの状態のまま行くとは思えないのだ。
で、この「金利」とは一体どうやって計算に入れていけばいいのだろう。最近は金利計算機のアプリがあるので、別に求め方を知っている必要はない。ただ、変動金利の各月毎の支払い金額を計算したくて、少し調べてみた。
元利均等方式と元金均等方式
まず、ここからわからない。言葉自体は聞いたことがあるのだが、何が違うのかわからない。この2つの違いから調べてみることにした。
元利均等方式
これは毎回の支払い金額が均等になる方式。ローンを返済するときに支払っているお金というのは元金と利息を合わせたものとなっている。元金とはもともと借りたお金のことで、利息は金利によって上乗せされたお金のことだ。例えば1200万円を金利1%で借り、10年、つまり120回で返済するとしよう。もし金利が無ければ単純に1200万円を120回で返す、つまり1回につき10万円ずつ返済すればいい。ここに金利1%が入ってくるとどうなるか。
金利は毎回の残高に対してかかる。1回目の支払いの際、残高は借りた額と同じなので、この場合は1200万円だ。だから1回目の支払いを終えたときの残高は、
前回までの残高 + (前回までの残高 × 金利) – 1回の支払額
となる。算数・数学が苦手だと鳥肌ものだろうけど、登場するのは3つだけだ。今回の例でいけば、前回までの残高は借りた1200万円のこと。そしてその残高に対する利息は、1200万円×金利となる。金利は一般的に年利となっていることが多いので、12で割って1回の支払いである月利に直す。なので利息は、
1200万円 × (0.01 ÷ 12) = 1万円
となる。つまり1ヶ月後の残高は、
1200万円 + 1万円 – 1回の支払額
となるわけだ。こうやって求めた残高をまた元の式に入れていけば、何ヶ月後に残高がいくらになっているのかがわかる。
…ちょっと待て!1回の支払額がわかんないから、計算出来ねーじゃねーか!!となるので、もう少し踏み込んでいく。
1ヶ月後の残高 = 0ヶ月後の残高 + (0ヶ月後の残高 × 月利) – 月々の返済額
となることはすでに触れた。ここで0ヶ月後の残高とは借りた額そのもの = 1200万円だ。少し式をまとめると
1ヶ月後の残高 = (1 + 月利) × 0ヶ月後の残高 – 月々の返済額
となる。
と、当然2ヶ月後は、
2ヶ月後の残高 = (1 + 月利) × 1ヶ月後の残高 – 月々の返済額
となる。ここの「1ヶ月後の残高」は、先に求めているわけだ。代入してしまえば、
2ヶ月後の残高 = (1 + 月利) × {(1 + 月利) × 0ヶ月後の残高 – 月々の返済額} – 月々の返済額
となる。これを少し計算して
2ヶ月後の残高 = (1 + 月利)2 × 0ヶ月後の残高 – (1 + 月利) × 月々の返済額 – 月々の返済額
となる。これをずっと繰り返していくとnヶ月後の残高は、
nヶ月後の残高 = (1 + 月利)n × 0ヶ月後の残高 – (1 + 月利)n-1 × 月々の返済額 – (1 + 月利)n-2 × 月々の返済額 – … – (1 + 月利)2 × 月々の返済額 – (1 + 月利) × 月々の返済額 – 月々の返済額
となる(笑)もう笑うしかないくらい、頭が痛くなってくる。ここで赤くしたところを見てほしい。この (1 + 月利)をr、月々の返済額をaとしておく。そうすると、この赤い部分は、
-arn-1 – arn-2 – … – ar2 – ar – a
となる。これは等比数列の和であり、高校で習った人もいるだろう。この和をSとすれば、
S = – arn-1 – arn-2 – … – ar2 – ar – a
となる。このタイプは計算が決まっていて、両方にrを掛けるのが一般的だ。両方にrを掛けると、
Sr = – arn – arn-1 – … – ar3 – ar2 -ar
になる。このrを掛けたものから、元の式を引いてみよう。すると、ほとんどの項は引き算によって消えてしまう。最終的に、
(r – 1)S = – arn + a
とすっきりしてしまう。月利が0%でなければrは1より大きいので、r – 1は0にはならない。このr – 1で、両方を割れば
S = a(1 – rn) ÷ (r – 1)
となり、さっきの赤い部分となる。また、0ヶ月後の残高は借入額なので、
nヶ月後の残高 = (1 + 月利)n × 借入額 + 月々の返済額 × (1 – (1 + 月利)n) ÷ 月利
となる。nヶ月後に返済が完了、つまりnヶ月後の残高を0とすれば、
0 = (1 + 月利)n × 借入額 + 月々の返済額 × (1 – (1 + 月利)n) ÷ 月利
となり、
月々の返済額 = (1 + 月利)n × 借入額 × 月利 ÷ ((1 + 月利)n – 1)
となった。ここに借入額1200万円、月利0.01 ÷ 12、返済月数120回を代入すれば、
月々の返済額 = ((1 + 0.01÷12)120 × 12000000 × 0.01÷12) ÷ ((1 + 0.01÷12)120 – 1) = 105124円
となり、手元のローン計算機と一致した。
元利均等方式は月々の返済額を均等にするため、最初のうちは返済額の内訳としての利息が多い。徐々にその割合は減っていくのだが、最初のうちはなかなか残高が減っていかないため、最終的な返済額は元金均等方式より高くなる。返済額が均等なので返済計画はたてやすい。といった特徴がある。
元金均等方式
それに対して元金均等方式は元金を均等に割っていく。返済のはじめの方は高い利息が乗っかるので、返済額が高い。つまり、返済開始して最初の返済額が一番高くなる。その代わり、元金の減りが早いため返済していくとどんどん返済額が安くなっていく。また、元金の減りが早い = 利息があまりかからないので返済総額は安くなる。
元金均等方式は元金を均等に割るので、元金に対する計算は
借入額 ÷ 総返済月数
となる。これに、利息分が加わるわけだ。利息は残高に対してかかるので、
元金の残高 × 月利
となる。元金の残高は、月々の返済元金に残り返済月数を掛ければいい。
元金の残高 = 借入額 ÷ 総返済月数 × 残り返済月数
残りの返済月数は、
総返済月数 – 返済済み月数
である。n回目の返済であれば返済済み月数は、n – 1 なので、 n回目の返済時の利息は、
借入額 ÷ 総返済月数 × (総返済月数 – (n – 1)) × 月利
となるので、n回目の返済額はこの利息に、元金の均等分を足して、
n回目の支払額 = 借入額 ÷ 総返済月数 + 借入額 ÷ 総返済月数 × (総返済月数 – (n – 1)) × 月利
となり、まとめると
n回目の支払額 = 借入額 ÷ 総返済月数 × (1 + (総返済月数 – (n – 1)) × 月利)
となる。ここに借入額1200万円、月利0.01 ÷ 12、返済月数120回を代入すれば、1回目の支払額は
1回目の支払額 = 12000000 ÷ 120 × (1 + (120 – (1 – 1)) × 0.01 ÷ 12) = 110000円
となり、手元のローン計算機と一致した。
先の元利均等方式と比べて初回の支払いが高い。ただし、総返済額12,614,934円の元利に対し、元金の総返済額は12,604,960円となり安い。この例では1万円ほどの差でしかないが、実際に3000万円や4000万円を35年で返済するような場合は大きく差が出る。また元金の減りが早い分、後半の金利変動によるショックが少ないのも元金均等方式の特徴だ。
支払い開始当初に余裕があれば、元金均等にしたほうがいい。我が家はなかなかギリギリなので元利均等方式を採用することにした。
変動金利
変動金利とは文字通り金利が都度変動することだが、1日単位で変わるわけではない。年に2回、つまり半年に1回金利の見直しが行われ適用される。ただし、返済金額の変更は5年間行われない。最初に月々の返済額が10万円であれば、5年間は10万円のままだ。この間の金利変動分は計算されて利息として付いているので、別に免除されるわけではない。5年経過し、返済金額が変更される時に、金利が大きく上がれば元の返済額を大きく上回ることがある。その場合も、直前の返済額の1.25倍までというルールがあるのでそれ以上は大きくならない。この場合も別に安くなったわけではなく先送りされただけである。
現在の日本の金利はかなり低い。固定金利でも十分低いのだが、変動金利は1%を切っているのでかなり魅力的だ。我が家はExcelで変動金利用の計算シートを作成した。半年後とに金利を入力できるようにしてあり、どんな金利変化が起こると支払いがどうなるかをシミュレートできる。変動金利の場合、前半に大きく金利が上がると苦しくなる。元金が多く残っているので当然だ。だが、今後1年や2年で5%まであがることがあるだろうか。35年かけて徐々に上がっていき、最終的に6%となった場合は一応返済可能という判断をした。そもそも金利がそこまで上がるということは、相当景気も良くなっているはずだ。公務員の給料にも反映されると思っているので、変動でも大丈夫だと思う。一応ローンアドバイザーのTさんにも確認したが、同じような認識だった。
住宅ローンはほとんどの人が利用するであろう。その内容について、自分は何も知らなかった。こうやって調べてみて、金利の計算や月々の支払いのことを少し理解できた。もっと深いところを知るためには、勉強しなければならないが、そこはおいおいやっていこう。これだけ計算できても、借りられなければ意味がないがw